頭髪の再生医療の現状(日本編)

日本毛髪科学協会の認定講師で毛髪診断士の けんぞう です。

今日もご覧になっていただきありありがとうございます。

今日も科学的根拠に基づいた育毛関連の情報をお届けしたいと思います。

 

はじめに

再生医療は次世代の医療として大きな希望を与えてくれます。

失われてしまった髪の毛をフサフサに蘇らせることも夢ではないのです。

アメリカでは多くのクリニックで薄毛治療における再生医療がおこなわれているようですが、脂肪幹細胞を用いた違法な再生医療だと指摘されています。

 

国内では資生堂や京セラが頭髪の再生医療を進めていますが、その進捗はどうなのでしょうか?

アメリカにおける頭髪の再生医療の現状に続いて、

国内における頭髪の再生医療の現状を調べてみました。

 

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アメリカでは未承認の再生医療が横行

アメリカでは、多くのクリニックで頭髪の再生医療がおこなわれているようですが、

肥満治療の吸引脂肪から幹細胞を含む細胞群を抽出し、これを移植用脂肪に混合して乳房や顔などに注入する再生医療で、主に、豊胸、しわ取り、美顔などの美容整形において施術されているようです。

しかし、

脂肪細胞から採取した間質血管細胞群(SVF)と呼ばれる幹細胞は、目的とする部位以外に移動して変化することもあることから、健康な臓器を傷つけてしまう可能性もあることや、FDA(米国食品薬品局)の承認を受けていない幹細胞が用いられているなどの違法性も指摘されているようです。

 

脂肪幹細胞を頭皮に移植する頭髪の再生医療はアメリカではPhase-Ⅱといわれる臨床試験段階で、国内でも聖心美容外科などで施術されるようです。

さて、国内の頭髪の再生医療の進捗はどうなのでしょうか?

広義の再生医療と狭義の再生医療

 

再生医療とは、失われた機能や臓器を再生させる医療です。

具体的には、

  • 事故で損傷した神経細胞を再生する
  • 糖尿病で働かなくなったすい臓細胞を再生する
  • 心筋梗塞で壊死した心筋を再生する

日本の毛髪再生医療

 

というのが、再生医療なのです。

そのためには、

  • 神経細胞に変化する細胞
  • すい臓に変化する細胞
  • 心筋細胞に変化する細胞

が必要なのですが、

あらゆる細胞に変化する幹細胞が必要なのです。

 

幹細胞としては、下記の3種類があるのですが、

  1. 幹細胞 : 骨髄や脂肪組織にあり、どんな細胞にでも変化できる万能細胞
  2. ES細胞 : 授精卵を利用した幹細胞だが倫理上の問題から使用不可
  3. iPS細胞 : 皮膚などの細胞に遺伝子などを導入して作った医療用幹細胞

受精卵の幹細胞は倫理上の問題があり、脂肪細胞や骨髄細胞では採取に限度があるのですが、

京都大学の中山教授らのグループがiPS細胞を作ることに成功したことから再生医療が一気に進み始めたのです。

 

国内における頭髪の再生医療

国内における頭髪の再生医療で最も進んでいるのは、

  • 資生堂を中心とする研究グループ
  • 京セラを中心とする研究グループ

ですが、

iPS細胞などの幹細胞を用いた再生医療とは多少異なります。

狭義の再生医療では、

 幹細胞 → 毛包(毛母細胞)に変化させる → 頭髪が再生

となるのですが、

資生堂の頭髪の再生医療は、

 毛母細胞 → 毛母細胞を増殖 → 頭髪が再生

という、いうならば広義の再生医療といえるのではないでしょうか。

 

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資生堂の頭髪の再生医療

資生堂の頭髪再生医療については何度かご紹介していますから既に充分ご存じだと思います。

 詳しく見る ⇒ 資生堂が頭髪再生医療の臨床試験を開始

 

資生堂が進めているのは、「自家細胞移植」による再生医療です。

資生堂は、10年以上の基礎研究や臨床研究の積み重ね、自家細胞移植技術の安全性を立証し、

2013年には、カナダのバイオベンチャー企業・レプリセル社と共同開発の提携をかわし、

2014年には、理化学研究所のある神戸医療産業都市の「神戸バイオメディカル創造センター」内に研究所を開設、

2016年6月、東京医科大学、東邦大学の研究グループと共同で医師主導の臨床研究を開始し、

2018年の事業化を目指して着々と研究を進めています。

 

資生堂の頭髪再生医療の概要

 

資生堂の頭髪再生医療は、

  1. 患者の髪の生えている部位から直径6mm位の頭皮を採取
  2. 採取した10本程度の毛球部の毛根鞘細胞を培養
  3. 毛球部の毛根鞘細胞を100万個程度まで増殖培養(約3ヵ月)
  4. 増やした毛根鞘細胞を注射器で薄毛部分の頭皮に注入(移植)

という手順でおこなわれます。

 

現在、66例の患者で臨床試験中ですが、移植後に1年間経を過観察し、さらに2年経過を観察する計画で、最終的に3年間で効果を検証するとしており、2016年に臨床試験を開始していますから、終了は2019年6月と見込まれ、

当初の2018年の事業化を目指すとした予定は1年程度は遅れるのではないかと思われます。

 

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京セラの再生医療の現状

京セラの研究グループによる頭髪の再生医療についても、

京セラと理研が頭髪の再生医療を開始」ででもお知らせしたのお読みくださったと思います。

 

京セラは、2016年7月12日、

理研とオーガンテクノロジーズと共同で脱毛症を治療する技術や製品の開発を開始する

とプレスリリースしました。

 

京セラは、理化学研究所、(株)オーガンテクノロジーズと、

毛包器官再生による脱毛症の治療に関する共同研究契約を締結し、

毛包器官を再生して脱毛症を治療する技術や脱毛症治療の製品の共同開発を目指しています。

 

京セラは理研と頭髪の再生医療を開始し2020年の実用化を目指す

 

京セラらの研究グループによる頭髪の再生医療は、資生堂グループとは異なり、

毛包器官再生による再生医療

です。

 

上の図の上段は、後頭部などの頭髪が残っている部分から頭髪を毛根ごと抜き取り、脱毛した部分に移植する自毛移植です。

この方法や、資生堂の毛包細胞の増殖による方法では、自毛が存在することが前提です。

 

京セラグループの頭髪の再生医療は、毛包器官再生による方法です。

  1. 毛のある部分から小量の頭皮を採取
  2. 体外で2種類の幹細胞を分離
  3. 2種類の幹細胞を毛包の元になる毛包原基に分化さる
  4. 毛包原基を脱毛した部分に移植して毛包に分化
  5. 毛包が頭髪を産み出す

という方法で、資生堂の体外で毛包を大量産生する方法とは異なるのです。

 

 

資生堂や京セラの研究グループ以外にも、慶応大学ではiPS細胞を用いた頭髪の再生医療の研究もおこなわれています。

資生堂は2019年頃の事業化が予想され、京セラも2020年の実用化を目指すとしており、いよいよ実現実を帯びてきました。

 

気になるのは費用です。

 

資生堂の研究グループの東京医科大学の坪井教授は、1回の治療費を20~30万円に抑えられれば現実的な薄毛の治療法になるのではないかと述べていますが、資生堂は自社の頭髪の再生医療の競合相手は自家植毛だと見ているようです。

さらに京セラのプレスリリースでも、京セラも技術的な競合相手として自家植毛を上げています。

 

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まとめ

気になる価格です。

 

クリニックにより自家植毛の価格は異なりますが、

国内の自家植毛の6割以上を行っているアイランドタワークリニックで自家植毛の価格は、100~200万円程度のでしから、

再生医療の費用はその程度になるのではないいでしょうか、、、、。

100万円というと高いと感じるかもしれませんが、

育毛剤や育毛クリニックへ通うよりは断然安いのです。

 

 

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