理研の薄毛の再生医療が一歩前進

日本毛髪科学協会の認定講師で毛髪診断士の けんぞう です。

今日もご覧になっていただきありありがとうございます。

今日も科学的根拠に基づいた育毛関連の情報をお届けしたいと思います。

 

はじめに

理化学研究所(理研)が、マウスのiPS細胞から皮膚器官系の再生に成功した。

マウスでの実験ではあるが、iPS細胞から毛を生み出す毛包器官を作り出せたのだ。

理研の成功で、再生医療による薄毛の治療も一歩前進したわけだ。

 

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再生医療による薄毛治療が一歩前進

理化学研究所の多細胞システム形成研究センター 器官誘導研究チーム と北里大学などの研究チームが、マウスiPS細胞から、毛包や皮脂腺などの皮膚付属器を持つ「皮膚器官系」を再生することに成功し、4月1日にアメリカの米科学誌「Science Advances」に掲載されたと発表した。

 詳しく見る ⇒ 理研のプレスリリース

 

すなわち、

  「マウスのiPS細胞から杯葉体を形成し、コラーゲンゲルに埋め込んでマウスに移植し、てさまざまな上皮組織を形成するCDB法を開発」

したということです(CDB : Clustering-Dependent embryoid Body クラスター依存胚様体)。

専門的になり、やや難しいのですが、分かりやすく説明したいと思います。

しばしば、幹細胞、ES細胞、iPS細胞という名前を聞きますが、どのように違うかといいますと、

  1. 幹細胞 : 生物の骨髄にあり、どんな細胞にでも変化できる万能細胞
  2. ES細胞 : 授精卵の万能性を利用した実験用の幹細胞(倫理上の問題がある)
  3. iPS細胞 : 皮膚などの細胞に遺伝子などを導入して作った医療用の幹細胞

ということです。

 

髪の毛は、毛根部にある毛包の毛球部といわれるところで作られるのですが、

 毛母細胞が毛乳頭の刺激を受けて髪の毛が作られる

のですが、毛包は単一の細胞ではなく、毛乳頭、毛母細胞、バジル細胞、立毛筋、などの様々な細胞群からなる器官なのです。薄毛の再生医療が理研の研究成果で大きく前進

今回の理研の研究グループは、

  1. マウス由来のiPS細胞を用いて、
  2. 胚様体(EB)と呼ばれる細胞群(凝集塊)を形成させ、
  3. マウスの背中に移植したところ、
  4. 皮膚器官ができた

ということなのです。理研の成果で薄毛の再生医療が加速化

 

出来上がった「皮膚器官」には、生体の皮膚と同じように、

  1. 上皮層や真皮層、皮下脂肪層もあり、
  2. 毛包上皮性幹細胞や毛乳頭細胞もある毛包もあり、
  3. 皮脂腺も、
  4. 立毛筋もある、

という正常な皮膚組織が再現できたというのです。

 

さらに、

この「皮膚器官系」から、「毛包を含む組織」を分離して別のマウスに移植したところ、移植14日後に、

「末梢神経や立毛筋などの周囲組織と接続して、機能的な毛包を含む皮膚器官系」を再生できたのです。

薄毛の再生医療を理研が加速化している

iPS細胞は、生体の細胞に癌遺伝子などを導入して万能細胞化することから、「癌化」の恐れがあるのですが、移植組織はが癌化することなく生着し、末梢神経や立毛筋などの周囲組織と接続して、機能的な毛包を含む皮膚器官系を再生することが出来たということです。

今回の、成功はiPS細胞から1種類の細胞や1つの器官を作り出すだけでなく、生体で機能する「器官系を一体的に形成することに成功」したわけですから、再生医療では大きな進歩だと評価できるでしょう。

将来的には、外傷や熱傷による損傷皮膚の再生、先天的無毛症、後天的な脱毛症、など皮膚と皮膚の付属器官における疾患の再生医療が期待できるわけです。

 

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薄毛の再生医療の研究が活性化している

iPS細胞により毛母細胞を作る試みは慶応大学の大山 学専任講師(皮膚科学教室)らによっても試みられていますが、

単に細胞だけでなく、器官として作ることに成功した今回の報告は薄毛の再生医療が大きく一歩前進したと評価でき、

再生医療による治療法の開発につながると期待できます。

 

薄毛に悩む人は、「一刻も早く実用化してほしい」というところでしょうが、今回の方法を薄毛の治療に応用するには、まだ時間がかかりそうで、2018年に事業化を目指している資生堂の再生医療の方が早いでしょう。

 

今回の理研の研究チームの代表は多細胞システム形成研究センター 器官誘導研究チーム 辻孝チームリーダーです。

辻孝氏といえば、明治ホールディングスのMeiji Seikaファルマと頭髪再生医療で提携し、脱毛症を治療する製品などの開発に取り組むとしています。

 詳しく見る ⇒ 明治製菓ファルマが頭髪の再生医療で理研と提携

 

また、今回の研究の共同研究者である、北里大学 医学部  佐藤明男特任教授は「東京メモリアルクリニック クリニック平山」の院長をされているのです。

さらには、今回の共同研究者でもある杉村泰宏氏は、再生医療向け医薬品および材料の製造・販売などを行っているベンチャ企業・オーガンテクノロジーズ 社の社長なのですが、辻孝チームリーダーはこの会社の取締役を兼務しているのですね、、。

 

今回の成果は薄毛の再生医療の大きな進歩ですが、実用化にはまだ時間がかかりそうです。

それまでは、有効な育毛剤の活用で頑張りましょう。

 

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