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    Categories: 再生医療

多血小板血漿(PRP)療法による薄毛治療

日本毛髪科学協会の認定講師で毛髪診断士の けんぞう です。

今日もご覧になっていただきありありがとうございます。

今日も科学的根拠に基づいた育毛関連の情報をお届けしたいと思います。

 

はじめに

先日はコロラド滞在中に得たアメリカの薄毛治療状況についてお話をしました。

友人のTomの話では、低出力レーザー育毛器や自毛植毛も人気だが、

最近はPRP(Platelet-Rich Plasma)therapyの人気が高まっている

という情報をお伝えしたのですが読んでくださったでしょうか?

PRP therapyとは、多血小板血漿療法というもので、国内でも薄毛治療に応用されています。

多血小板血漿療法は、広い意味では再生医療の一種類で、自分の血小板を用いた薄毛治療法です。

やや高額なのですが、科学的にも有効性が立証されており、次世代の薄毛治療法なのかもしれません。

 

 

多血小板血漿(PRP)療法とは

PRP療法とはどんな治療法なのでしょうか?

PRPとはPlatelet Rich Plasmaの略で、日本語では、血小板が豊富に含まれた血漿(血液成分)という意味です。

日本ではPRP療法は、

  • 多血小板血漿療法

あるいは、自己細胞による若返りを意味する

  • ACR療法(Autologus Cell Rejuvenation Therapy )

とか、

血液を用いることから吸血鬼バンパイアから名前をとって、

  • パンパイア療法

などと呼ばれています。

 

Tomの話では、アメリカでは多血小板血漿(PRP)療法の人気が非常に高まっているのだそうですが、

多血小板血漿(PRP)療法は1990年頃に、アメリカのマイアミ大学の外科医であるロバート・マークス教授によって始められたと言われています。

ロバート・マークス教授は、

血小板に含まれている増殖因子は、創傷に対して驚異的な治癒力を持っており、血小板は創傷治癒を開発する重要な細胞であることを発見した

と自著の中で述べています。

多血小板血漿(PRP)療法は血小板を用いた薄毛治療

多血小板血漿(PRP)療法は自分の血小板を用いた治療法なのです。

血液は、

  1. 細胞成分(血球) : 赤血球、白血球、血小板、リンパ球
  2. 液体成分(血漿) : 液体成分

で構成されていますが、

血小板は血液凝固の働きがある細胞です。

 

多血小板血漿(PRP)療法は、血小板は血球の1%程度しかないのですが、血球を濃縮して血小板の濃度を94~96%まで高めて用いる療法なのです。

 

具体的には、

  1. 自分の血液を20cc採血する
  2. 血液を遠心分離して血小板を含んだ血漿と、赤血球とに分離する
  3. 遠心分離によって高濃度の血小板を得る(これがPRP)
  4. PRPを自分の目的の治療箇所に注射する

という手順で、

自分の血液から得た血小板を自分の治療箇所に注射する

という非常に簡単な治療法です。

多血小板血漿(PRP)療法はFDAが承認

多血小板血漿(PRP)療法は、アメリカでは日本の厚労省に相当するFDA(米食品医薬品局)にも認められている治療法です。

 

国内においても、2009年に、多血小板血漿(PRP)療法研究会が設立され、学術的立場で多血小板血漿(PRP)療法の基礎的、臨床的検討がおこなわれています。

多血小板血漿(PRP)療法研究会に参加している医師は、形成外科、美容外科、歯科口腔外科、整形外科、外科、眼科、基礎医学など広範な領域にわたり、国内でも多血小板血漿(PRP)療法の応用が大いに期待されているのです。

国内では再生医療提供施設としての届出が厚生労働省に受理されている医療機関に限り施術することが許されています。

 

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多血小板血漿(PRP)療法の有効性

自分の血小板を投与するだけでどうしてそんなに効果があるのでしょうか?

多血小板血漿(PRP)療法については以前にもご紹介したことがあるのですが、最近の進捗も合わせてご紹介したいと思います。

 

血小板は血液凝固に関与する細胞なのですが、

様々な増殖因子を分泌するのです。

  • 血小板由来増殖因子
  • トランスフオーミング増殖因子
  • 血管内皮増殖因子(VEGF)
  • 上皮増殖細胞(EGF)
  • 繊維芽細胞増殖因子(FGF)

などの成長因子や種々の作用を持った多くの局所ホルモンを分泌することが分かっています。

これらの成長因子や増殖因子は体の各部位において様々な成長促進作用を持つことが科学的に明らかになっています。

 

血小板は血液成分の1%程度ですが、

多血小板血漿(PRP)療法では、血球を濃縮して血小板の濃度を94~96%まで高め、増殖因子の効果を強化した治療法で、

自分の血小板を自分に投与する治療法ですから、

  • 拒絶反応もなく
  • 成長因子や増殖因子の成長促進作用が期待できる

治療法なのです。

 

多血小板血漿(PRP)療法の応用

多血小板血漿(PRP)療法研究会に参加している医師は、形成外科、美容外科、歯科口腔外科、整形外科、外科、眼科、基礎医学など多岐な診療科に亘っていることからも分かるように、広範な臨床領域での応用が期待されています。

身近なところでは、

ニューヨークヤンキースの田中将大投手が2年前に右ヒジ靱帯を断裂して手術を受けたことをご存じだと思いますが、

トミー・ジョン手術といわれる靱帯再建手術は回復までに1年以上を要するのですが、ニューヨークヤンキースの田中将大投手は多血小板血漿PRP療法を取り入れ最短6週間での復活を目指したことは有名です。

その他にも、

  • タイガーウッズ選手はアキレス腱断裂の治療や靭帯損傷の治療に多血小板血漿PRP療法を適用
  • Jリーガーのウェリントン・ロシャ選手は関節内側部痛に多血小板血漿PRP療法を適用
  • Jリーガーのレオミレイロ選手は右膝内側側副靭帯損傷手術で多血小板血漿PRP療法を適用

などが知られています。

 

国内でも、

  • プロゴルファー平塚哲二選手
  • 走高跳日本記録保持者の醍醐直幸選手
  • パラリンピックの鈴木徹選手

らが多血小板血漿PRP療法を受けたことを公表しています。

 

整形外科領域ばかりではありません。

Tomの奥さんが興味を示しているように、

アメリカでは、

  • 顔のシワやシミ
  • 目の下のクマ
  • 口元のほうれい線

などの美容治療にも応用されて成果を上げていますし、

  • 火傷
  • 皮膚外傷
  • 皮膚壊死
  • テニス肘やゴルフ肘
  • 肉離れ
  • アキレス腱障害
  • 靭帯損傷
  • ガングリオン

など、多くの疾患における応用が始まっているのです。

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多血小板血漿(PRP)療法による薄毛治療

さて、話が長くなってしまったのですが、多血小板血漿(PRP)療法による薄毛治療は日本でも臨床応用されています。

現時点では、

厚生労働省に対する再生医療提供施設としての届出が受理されている医療機関でのみ施術することが許され、

具体的には、

などが施術しています。

 

アヴェニュークリニックの多血小板血漿(PRP)療法については、アヴェニュークリニックのPRP療法による薄毛治療は有効か でもご説明したように、

W-PRP療法と言われるもので、

PRP(血小板と血漿)に加えて白血球も加え、より多くの線維芽細胞を誘導することでより有効性を高めたとしています。

アヴェニュークリニックでの薄毛治療における多血小板血漿(PRP)療法は、

  1. 約15ccの血液を採血
  2. 血小板が濃縮された血漿(PRP)を採取
  3. 薄毛が頭皮の気になる部分に細かく注射

という治療を、

6ヵ月~1年のサイクルで繰り返し、薄毛の改善をおこなうのです。

 

気になる治療費は、

  • W-PRP(1単位2cc/1キット)    216,000円
  • 追加W-PRP(1キットにつき)  108,000円

ですが、6ヵ月~1年のサイクルで繰り返し注射するということですから、総額はかなり高額になるようです。

しかし、これで薄毛が解消すれば、自家植毛などよりも割安になるかもしれませんね。

 

新東京クリニックの料金も、

  1. 1回     : 120,000円
  2. 5回コース : 500,000円

とのことですから、金額的にはほぼ同じようです。

 

まとめ

多血小板血漿(PRP)療法はによる治療は、多くのスポーツ選手の怪我の治療でも施術されており信頼ある治療法です。

薄毛治療においても着々と実績を上げていますから、症例数も上がれば治療費も安くなると思われます。

しかし、国内では再生医療提供施設としての届出が厚労省に受理されている医療機関でのみ施術することが許されています。

多血小板血漿(PRP)療法による薄毛治療を希望するのであれば、金額にとらわれず厚労省に認可されたクリニックを選んでください。

 

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